亜急性硬化性全脳炎・家族の会

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このページは厚生省特定疾患遅発性ウィルス感染調査研究班編「SSPE患児療育の手引き(H2.3)」より引用しています


 
 

原因・発病時期

 SSPEとは、亜急性硬化性全脳炎の英語名 SUBACUTE SCLEROSING PANENCEPHALITIS の頭文字を並べた、この病気の略式の名で、進行性の非常に重篤な疾患です。
 ウィルスが脳に感染しておこります。麻疹にかかった後、数年から十数年経ってから発病してくるのが普通です。麻疹にかかって完全に治った後に、麻疹ウィルスが体のどこかに潜伏していて、長い間に変わり種になって脳の病気を起こしてくるものと考えられています。たまには、麻疹に罹ったことがはっきりしないSSPEの子どもがいます。いったん発病すると病気はほとんどの場合、どんどん進んでいきます。
 麻疹に罹った場合、その後SSPEになる率は、我が国では100万人に16人くらいです(82%が2歳未満に麻疹に罹患)。この様に稀な病気ですから、麻疹にかかったときにSSPEのことをあまり強く心配しないでよいと思います。予防接種を受けていても発症する方がごくわずか存在しますが、現在ではワクチンによって発症するのではなく、麻疹ウィルスに罹患しながら、症状が出なかった、とされる研究が出ています。
 多くは3歳から15歳まで(2歳11ヶ月〜20歳6ヶ月)に発病しています。中でも6歳から9歳の間に起こる事が多い(平均9歳7ヶ月)ですが、たまには成人になってから発病した人もいます。( )内、SSPE青空の会、第2回SSPE患者実態調査報告書より

症状(ステージ)

 病気の症状は、第1期の状態から始まり、徐々に進行し第4期に移行していきます。もちろん、個人差はあり、進行が止まったり状態が改善されたりすることはありますし、最近では、インターフェロン等の薬剤の効果により、そのような例が増えています。

【第1期】 

 精神面の異常としては、学校の成績が落ちる、注意力、集中力が低下する、性格が変わったり、何でも嫌がったり(拒絶)、自分の殻に閉じこもったり(自閉)する傾向が出ます。また、ものがうまく言えなかったり口数が少なくなります。尿失禁をしたりする事もあります。

 運動能力、動作面の異常としては、発作的に全身が痙攣したり(発作)、急に体の力が抜ける(脱力)ようなことが起こります。また字が下手になったり、動作が鈍くなる、片側の手足がきかなくなるようなことも起こります。会員のアンケートから、発病初期の症状を見ると、以下のようでした。

第2回SSPE青空の会患者実態報告書から(複数回答)

痙攣や転倒を始めた(54%) 成績が落ちた   (36%)
運動が鈍くなった (25%) 元気がなくなった (16%)
性格が変わった  (11%) 眠ってばかりいた ( 8%)
発熱       ( 4%) その他      (20%)

【第2期】

 精神面・運動面の異常が次第にはっきりしてきます。瞬間的に腕や足が曲がったりするミオクローヌスという一種の痙攣が起こります。痙攣が小さいときは、ピクッと動く程度ですが、時には体がベッドから持ち上がったりします。立位で起こると、瞬間的に腰がくだけたり、転倒したりします。体のあちこちが、同時に瞬間的に痙攣し、数秒から10秒くらい静かになりますが、その後また同じような痙攣が繰り返して起こります。
 ミオクローヌスを薬で抑えることは難しいようです。

【第3期】

 話が通じなくなり、自分からものを言わなくなります。自分で手足を動かす事もなくなり、食べ物を噛んだり飲みこむ事もできなくなります。意識は徐々にはっきりしなくなり、寝たきりとなります。ミオクローヌスはますます強くなり、不規則に体が勝手に動いたり、不規則運動が現れたりします。腕や足の筋肉が硬くなってきます。汗や涎がたれたり、高熱が出たりします。

【第4期】

 腕や足が硬直したり、側湾などが顕著になってきます。両方の腕が伸びたままになり内側にねじれた位置を取ったり(除脳姿勢)、両腕が肘で曲がり、両足は伸びたままになったり(除皮質姿勢)するような姿勢異常が目立ってきます。目は開けていても呼びかけに反応しないようになります。ミオクローヌスはなくなってきます。

診断・治療

 診断としては、脳波の検査と脳脊髄液の検査が必要です。
症状や経過がに述べたようであって、脳波に特徴的な異常が見られたり、あるいは、脳脊髄液の中に麻疹ウィルスに対する抗体が多量に認められれば、SSPEと診断します。 

 現在の所、完治させる治療薬はありません。イノシプレックス(イソプリノシン)は、生存年数を延ばす効果が認められています。インターフェロンは、脊髄腔内あるいは脳室内への投与により、進行を押さえる等の効果が高くなっています。

 一般的には、イソプリノシンとインターフェロンを併用し、効果が認められなければインターフェロンを中止する、というような方法を行なう事が多いようです。最近では、インターフェロンと併用する形でリバビリンが使われる例が増えてきましたが(「会員情報」参照)、どの程度の効果があるかの詳細は研究中です。まだ保険薬には認定されておりません。
 その他に、抗けいれん薬、去痰剤、下剤、入眠剤等を症状に合わせ用います。

 ステージが上がってくると、口から食事が摂れなくなり、鼻から胃まで栄養チューブを入れたり、腹から直接胃に直接チューブを入れ(胃ろう)たりして、栄養を補給する事が行なわれています。また、呼吸状態が悪くなり、それを補うための下咽頭挿管、気管切開、人工呼吸器の使用等が行なわれています。

 

 問い合わせ先
SSPE青空の会 事務局
〒195-0057 町田市真光寺1-35-7 辻方
      tel.fax  042-736-2028
     
sspe_aozora@hotmail.com

 

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